整形外科領域の手術は、痛みの緩和や機能の回復を目指して行われますが、手術そのものが最終目的ではありません。手術によって得られた改善を、実際の生活の中で役立つ「動き」として取り戻すために、リハビリテーションは欠かせない役割を担います。当院整形外科では、医師・看護師・理学療法士・作業療法士が連携し、患者さんお一人おひとりの状態や生活環境に合わせたプログラムを提供しています。
リハビリテーションの目的
手術後のリハビリテーションは、単なる筋力強化や関節の可動域訓練ではありません。大きく分けて以下のような目的があります。
- 手術による炎症や腫れを抑え、回復を促すこと
- 関節や筋肉の動きをやわらかくし、正常な可動域を取り戻すこと
- 立つ、歩く、階段を昇るなど、日常生活に必要な動作を再学習すること
- 転倒や再受傷を防ぎ、手術の効果を長く保つこと
特に整形外科手術の後は、安静によって筋肉が低下しやすく、また痛みを避けることで身体のかばい方が身についてしまいます。このような二次的な機能低下を防ぐためにも、早期から段階的にリハビリテーションを進めることが重要です。
理学療法と作業療法の役割
当院では、理学療法と作業療法を組み合わせてリハビリテーションを進めます。
理学療法では、主に基本的な運動機能の回復を目指します。関節の動きを確認しながら、痛みの少ない範囲で段階的に訓練を行います。また、歩行訓練や筋力維持のための運動、松葉杖や歩行器の使い方なども、この中で指導します。
一方、作業療法では、より生活に近い動作の回復を支援します。食事の際の姿勢、衣服の着脱、トイレやお風呂の動作など、実際の生活場面を想定した訓練を行います。退院後に自宅で安全に暮らせるように、家の中の動線や使う道具についての相談にも応じています。
術後の経過とリハビリテーションの進め方
リハビリテーションは、手術後の経過に応じて内容が変わります。術後間もない時期は、痛みやむくみを軽くするための冷却や、安静を保ちながら行える軽い運動が中心です。炎症が落ち着いてきたら、関節を動かす訓練や、筋力の回復を目的とした運動へと徐々に移行します。退院後も、通院によるリハビリテーションや、ご自宅で行う自主トレーニングを継続されることがあります。
回復のペースは手術の内容や個人差によって異なります。焦らず、痛みの程度に合わせて進めることが大切です。無理に動かしすぎると炎症が長引いたり、かえって回復が遅れることもあります。リハビリテーション中に強い痛みや違和感を感じた場合は、遠慮なく担当スタッフにお伝えください。
ご自宅での取り組みと注意点
リハビリテーションの成果を高めるためには、ご自宅での自主的な取り組みも重要です。当院では、退院時にご自宅で行える運動を記載した資料をお渡しし、スタッフが個別に説明を行っています。
ご自宅での取り組みの際にご注意いただきたい点は、以下のとおりです。
- 痛みが強いときは無理をせず、運動を中止して休息をとる
- 転倒に十分注意し、狭い場所や段差での動作は手すりを利用する
- 運動後に関節に強い腫れや熱感が続く場合は、医師または療法士に相談する
- 自己判断で運動量を急に増やさない
また、手術を受けた部位だけでなく、全身の体力を保つことも回復には欠かせません。食事や睡眠をしっかりとり、体調を整えることがリハビリテーションの効果を支えます。
退院後の生活を見据えて
手術後に「どの程度まで回復すればよいか」は、年齢や仕事、趣味、住まいの環境によって異なります。当院では、退院後の生活を見据えた目標を患者さんと共有し、それに向けてリハビリテーションを進めています。不安なことがあれば、いつでも外来スタッフや療法士にご相談ください。手術を受けた方が、安心して日常生活へ戻れるよう、私たちはしっかりとお支えいたします。