腰椎压迫骨折は、骨粗しょう症を背景にした高齢者に多い骨折です。転倒やくしゃみ、重いものを持った拍子に、背骨の前方部分がつぶれるように潰れてしまいます。強い痛みが出ますが、脚のしびれや麻痺を伴うことは少なく、多くの場合は手術をせずに治すことができます。
まずは安静と痛みのコントロール
発症直後は、とにかく痛みが強い時期です。無理に動かそうとせず、安静を第一にします。ただし「絶対に動いてはいけない」わけではなく、痛みの範囲内でベッド上での寝返りや、足の曲げ伸ばしなどは行ってかまいません。むしろ、完全に動かさないと筋力が落ち、回復が遅くなります。
痛みに対しては、消炎鎮痛薬の内服や外用薬を使います。痛みが強い間は、体を動かす前に痛み止めを飲んでおくと、リハビリを進めやすくなります。また、医師の指示に従い、コルセット(体幹装具)を作ることもあります。コルセットをつけることで、骨折した椎体への負担を減らし、安定感が得られます。
コルセットの正しい使い方
コルセットは、立ったり歩いたりするときは必ず装着します。反対に、ベッドで横になっているときは外してかまいません。食事や排せつのときは、腰痛の程度に応じて装着したままでも問題ありませんが、しっかりと固定することが大切です。
コルセットの装着時間が長いと、腰の筋肉が弱くなってしまいます。そのため、痛みが落ち着いてきたら、日常生活の中でも少しずつ外す時間を増やし、最終的には医師の判断で卒業します。自己判断で外したり、逆に長期間つけ続けたりしないようにしましょう。
リハビリは「痛みが軽くなってから」では遅い
「痛いから動かない」を続けていると、関節が固まり、筋力が低下し、歩けなくなることがあります。特に高齢者は、数日間の安静だけで足腰の機能が大きく落ちるため、できるだけ早い段階からリハビリを始めることが重要です。
急性期のリハビリは、以下のような内容から始めます。
- 足首や膝の屈伸運動
- 太ももの前後の筋肉を緊張させる運動
- 肩や腕の軽いストレッチ
これらはベッド上でも安全に行えます。痛みで動かせない場合は、まずは「力を入れたり抜いたり」するだけでも効果があります。
痛みが和らいだら、機能回復へ
骨折から数週間経ち、歩けるようになったら、リハビリの内容は「元の生活に戻す」ことを重視します。具体的には、以下のような練習を取り入れます。
- コルセットを着けたままの歩行練習
- バランス能力を高める運動
- 椅子からの立ち上がり、座る動作の練習
- 階段の上り下り
リハビリの際には、痛みが強く出ない範囲で行うことが基本です。「痛み止めを飲めば動ける」という状態であれば、積極的に体を動かしたほうが回復は早くなります。ただし、突然の激しい痛みや、脚の力が入りにくいなどの症状が出た場合は、すぐに担当医に相談してください。
自宅で気をつけること
退院後も、骨折した椎体を再び潰さないように注意が必要です。特に注意したいのは、前かがみの姿勢です。床のものを拾う、靴下を履く、布団の上げ下ろしなどは、腰を丸める動作になるため、負担がかかりやすい動作です。こうした動作は、ひざを曲げてしゃがんだり、台に足を乗せたりして、腰をできるだけ曲げないように工夫しましょう。
また、骨粗しょう症が原因の場合は、骨折の再発を防ぐために、骨を強くする治療を並行して行うことがあります。医師と相談しながら、食事や運動、薬物療法なども検討していきましょう。
腰椎压迫骨折は、適切な治療とリハビリを行えば、多くの方が日常生活に戻れます。大切なのは、「痛いから動かない」ではなく、「痛くない範囲で動かす」ことです。焦らず、自分のペースで回復を目指してください。